3角形に内接する円の導出
3角形の頂点の座標を指定して、3角形に内接する円を求める。 
それらの座標をP
1
(x
1
,y
1
), P
2
(x
2
,y
2
), P
3
(x
3
,y
3
)とする。
(1) 頂点を結ぶ直線の方程式を定める。
2点(x
p
,y
p
), (x
q
,y
q
)を通る直線の式は次式で与えられる。
(y
p
-y
q
)x+(x
q
-x
p
)y+(x
p
y
q
-x
q
y
p
)=0
a
1
x
0
+b
1
y
0
+c
1
=0
P
1
とP
2
を結ぶ直線を
a
2
x
0
+b
2
y
0
+c
2
=0
P
2
とP
3
を結ぶ直線を
とすると,
a
3
x
0
+b
3
y
0
+c
3
=0
P
3
とP
1
を結ぶ直線を
a
1
=y
1
-y
2
b
1
=x
2
-x
1
c
1
=x
1
y
2
-x
2
y
1
a
2
=y
2
-y
3
b
2
=x
3
-x
2
c
2
=x
2
y
3
-x
3
y
2
a
3
=y
3
-y
1
b
3
=x
1
-x
3
c
3
=x
3
y
1
-x
1
y
3
(2) 直線に接する円の式
点(x
0
, y
0
)から直線ax+by+c=0への距離をhとすれば、
h=
|ax
0
+by
0
+c|
Öa
2
+b
2
(x-x
0
)
2
+(y-y
0
)
2
=r
2
それゆえ、直線ax+by+c=0に接する円の方程式を
とすれば,
(ax
0
+by
0
+c)
2
=(a
2
+b
2
)r
2
求める円は3つの直線に接するので、
(a
1
x
0
+b
1
y
0
+c
1
)
2
=(a
1
2
+b
1
2
)r
2
(a
2
x
0
+b
2
y
0
+c
2
)
2
=(a
2
2
+b
2
2
)r
2
(a
3
x
0
+b
3
y
0
+c
3
)
2
=(a
3
2
+b
3
2
)r
2
ここで
r>0
(3) 計算例
x
1
=0
y
1
=0
x
2
=5
y
2
=2
として、解を求めよう。
x
3
=1
y
3
=4
まず、直線式の係数に値を代入する。
a
1
=y
1
-y
2
b
1
=x
2
-x
1
c
1
=x
1
y
2
-x
2
y
1
a
2
=y
2
-y
3
b
2
=x
3
-x
2
c
2
=x
2
y
3
-x
3
y
2
a
3
=y
3
-y
1
b
3
=x
1
-x
3
c
3
=x
3
y
1
-x
1
y
3
次に、上の3つの接円の式とrの条件式を選択して、連立多項式を実行する。
そうすると、次の解を得る。
r = 3.574169848
x
0
 = 5.162827373
y
0
 = 5.914629685
r = 1.287516217
x
0
 = 1.859795227
y
0
 = 2.130615495
r = 5.607342525
x
0
 = 4.744547995
y
0
 = -4.141473527
r = 3.139063041
x
0
 = -2.656059484
y
0
 = 2.318450569
4組の解がある。これらの識別のため,次のように表記する。
r
1
 = 3.574169848
r
2
 = 1.287516217
x
01
 = 5.162827373
x
02
 = 1.859795227
y
01
 = 5.914629685
y
02
 = 2.130615495
r
3
 = 5.607342525
r
4
 = 3.139063041
x
03
 = 4.744547995
x
04
 = -2.656059484
y
03
 = -4.141473527
y
04
 = 2.318450569
これらの内、半径の最も小さい第2の解が、内接円に対応する。
他の3つは外接円に対応する。
【備考】
連立多項式の実行において、円の中心が3角形の内部にあるという条件を付加する
ことによって、解を内接円に限定してもよい。
(a
1
x
0
+b
1
y
0
+c
1
)
2
=(a
1
2
+b
1
2
)r
2
(a
2
x
0
+b
2
y
0
+c
2
)
2
=(a
2
2
+b
2
2
)r
2
(a
3
x
0
+b
3
y
0
+c
3
)
2
=(a
3
2
+b
3
2
)r
2
r>0
中心点が3角形の
内部にある条件
x
0
y
0
1
x
3
y
3
1
x
1
y
1
1
>0
x
0
y
0
1
x
1
y
1
1
x
2
y
2
1
>0
x
0
y
0
1
x
2
y
2
1
x
3
y
3
1
>0
上記の式を選択して、連立多項式を実行すると、
r = 1.287516217
x
0
 = 1.859795227
y
0
 = 2.130615495
(4) 結果の図示
まず次式によって、3直線のグラフを書く。
y=-(a
2
x+c
2
)/b
2
y=-(a
3
x+c
3
)/b
3
y=-(a
1
x+c
1
)/b
1
次に、次式によって、円を書く。
x(t)=r
1
cost+x
01
x(t)=r
2
cost+x
02
x(t)=r
3
cost+x
03
x(t)=r
4
cost+x
04
y(t)=r
1
sint+y
01
y(t)=r
2
sint+y
02
y(t)=r
3
sint+y
03
y(t)=r
4
sint+y
04
下の図は、こうして得られたグラフである。
gr0001.png
pfrm0001.png
【別解法】
角∠P
3
P
1
P
2
の2等分線と角∠P
3
P
2
P
1

2等分線の交点Qは内接円の中心である。
角∠P
3
P
1
P
2

2等分線の式
y=tanθ
1
×(x-x
1
)+y
1
(1)
θ
1
=
1
2
(tan
-1
y
3
-y
1
x
3
-x
1
)+(tan
-1
y
2
-y
1
x
2
-x
1
)
角∠P
3
P
2
P
1

2等分線の式
y=tanθ
2
×(x-x
2
)+y
2
(2)
θ
2
=
1
2
(tan
-1
y
1
-y
2
x
1
-x
2
)+(tan
-1
y
3
-y
2
x
3
-x
2
)
さらに
x
1
=0
y
1
=0
(3)
y
2
=2
x
2
=5
(1), (2), (3)を選択して,連立多項式を実行する。
連立多項式のダイアログでは、変数をx,yに指定する。
式(3)は次の理由で含めている。
式(1)と式(2)において、x, x
1
, x
2
が変数xのグループに属し、
x, x
1
, x
2
が変数xのグループに属する。
それで、変数をx,yに指定すると、実質的な変数の個数は6つになる。
そこで、式(3)を追加して、方程式の個数を6つにしている。
こうして、次の解を得る。
x = 1.85979521725506
x
1
 = 0
x
2
 = 5
y = 2.13061549525983
y
1
 = 0
y
2
 = 2
xおよびyの値を、それぞれx
0
,y
0
に代入する。
x
0
 = 1.85979521725505
y
0
 = 2.13061549525983
そして
a=
y
3
-y
1
x
3
-x
1
c=-
y
3
-y
1
x
3
-x
1
×x
1
+y
1
b=-1
とすると、半径rは次式で与えられる。
r=
|ax
0
+by
0
+c|
Öa
2
+b
2
rの計算値は
r=1.28751622097121