第六回アップグレード内容
(1)基数変換(p進数)機能の強化
従来基数変換の対象の数値は、10進数で15桁又は16桁の精度の限られていました。今回こ
の制限を解除しました。
ただしカルキングでは1000桁の制限があります。これを超えることはできません。
また従来は、変換対象が整数または、小数点数に限られていましたが、
この制限を解除しました。
50桁
25桁
25桁
100桁精度計算
30桁精度計算
(2) n個の対データからこのデータに関する近似多項式を求める。
計算例
データは2列の行列に格納する。
代入定義
get_approx_poly関数を利用して3次式を求める。2番目の引数は次数+1をセットする。3番目の変
数名を文字列で与える。
15桁で計算
5桁で計算
評価
計算精度の指定によって、このように見かけ上、
2次」、3次の係数は微小であるので、無視できる。
従って近似多項式は
関数定義
検算
入力データとは異なる点での計算
●特殊ケースにも対応できています。
対データ数と指定したdに関して以下の条件が成り立つと、データ座標上を通る
多項式が求まります。
データ数 = d
放物線は、3点が与えられると、式が決定できます。
同様に3次曲線は、4点が与えられると、式が決定できます。
(3) 計画行列(design matrix) を求める。
(1)式で定義した行列Mを利用します。
(4) 2次曲線の接線を求める汎用の関数を実現した。
この関数を新規に追加しました。
特徴
●対象は円、楕円、放物線、双曲線である。
●楕円上の接線だけでなく、楕円の外の点からの接線も求めることができる。
サンプル例題の「幾何」フォルダの二次曲線の接線の汎用アルゴリズム-# を参照
Webでの説明は以下のサイトをご覧ください。実演デモも含まれています。
マウスクリック
接線の説明
(5) モーレーの三角形の作図
ユークリッド幾何にモーレーの三角形の定理があります。
おそらくユークリッド幾何の最高度に美しい定理です。
 
任意の三角形に関して、その三角形の内部に、正三角形が存在します。
従来よりカルキングのサンプル例題の「データーグラフ」フォルダに収録しています。
今回のイージーアップデートで大幅に書き換えわかり易くしています。
 
データーグラフの基礎は「座標幾何」または「解析幾何」と呼ばれる分野です。
直線の交点の計算や、2つの直線の挟角の計算を中心課題としてわかり易く解説しています。
 PDF化したファイルは以下のサイトでご覧いただけます。
マウスクリック
モーレーの三角形
(6)3次方程式の判別式関数の実現
方程式の形
EQ=0
P: 文字列で与えた多項式。
name:文字列形式での変数名
注 2次方程式の判別式関数とは
引数の形が異なります。
計算例1
代入定義
代入定義
計算
重根がある場合は0になる。
計算例2
代入定義
代入定義
計算
重根になる。
(7)ベッセル関数、ハンケル関数の超高精度版の計算高速化と品質向上
第一種ベッセル関数,第二種ベッセル関数、第一種ハンケル関数,第二種ハンケル関数が対
象になっています。
これらの複素数対応の15桁を超える高精度版はVer9で初めてサポートされました。
カルキング技術の成熟に伴い、多彩なアルゴリズムの実験等が効率的に可能になり、このたび
抜本的に実装法を改善いたしました。sin、cos等は1変数ですが、これらの関数には、
さらに次数(order)と呼ばれるもう一つの引数があります。さらに厄介なことに、周期性がない
ため、引数の値が大きい時に漸化式等はあるのですが、計算精度が大きく落ちてしまいます。
従って、2つの引数の値によって、求まる精度は大きく異なります。
500桁精度の値が求まるときもあれば、70桁程度が限界のこともあります。
ベッセル関数の関数グラフを描く場合、計算精度はおそらく8桁程度で十分でしょう。
むしろ描画時間の高速化が、重要となってきます。このためカルキング365では、
関数グラフ時の計算高速化のために、計算精度は15桁の標準モードで計算します。
通常の計算において、15桁の計算精度を希望さるときは、プロパティ設定で16桁以上を
指定してください。
15桁
16桁
50桁